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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第6章 少女達の気持ち
「お疲れ様です!」

 明るい声でキビキビと美緒ちゃんがタオルやドリンクを配って回る。

「今日も勝ちましたね! プレスが効いてて相手は動けませんでしたよ」
「ヤマさん、ナイスゴールでした! 飛び出しのタイミング、ばっちりですね」
「ヤスさんのスルーパス、最高でした! オカさんもナイスアシストです!」

 勉強の成果か美緒ちゃんもすっかりサッカーに詳しくなった。
 サッカー雑誌を何冊も鞄に詰めて持ち帰り、録画したサッカー中継を俺やヒデの解説つき、ついでに夕食付きで満腹亭で観戦。
 最近では池内にもいろいろ教えてもらってるみたい。

 いつか言ってたっけな。中学の時の好きな人がサッカー部だったって。
 だからサッカーに詳しくなりたいんだって。

 今ならきっと、そのサッカー少年の前でも十分サッカー話が出来るだろうな。

「ふん、いいくたばり具合じゃないか」

 対照的にふてぶてしいのは、マネージャーから昇格した、池内新監督。

「もーダメ。死にます」
「あっはっは。いいぜ、今日のところは死んでろよ。今後は最低でも毎試合あれくらいは走ってもらうからな。なあ、エース?」
「うん、そうだね」

 いつかのように再びゾンビの群れと化したサッカー部員の中でただ一人ゾンビウイルスに感染しなかったヒデが平然と話している。
 汗をかいて暑そうにはしているけど、まだまだ体力を残していそうだ。
 ヒデのすごいところはサッカーの技術だけじゃない。基本的な身体能力も俺達とは桁違いだった。
 トップレベルのプレーヤーってのは、そういう基礎部分もしっかり鍛えられているんだな。

「今日くらいフォローが効いていれば、相手が武北だろうと武蔵西武だろうと、そう簡単には得点出来ないはずだよ」
「こっちも体力が尽きて反撃出来なくなったけどな」

 池内が皮肉っぽく笑って言う。
 もう池内の皮肉や罵声に悪意がないことは分ってるけどね。


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