パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第21章 これからはずっと ─ side 結城 恒

「ただいま」

「いつから待ってたの？なんで帰ってくるって教えてくれなかったの？！」

「………ごめん。ビックリさせようと思って」


………まさか怒るとは。ちょっと予想してなかったな。


キッと睨むように俺を見ていた美羽さんの顔は、次第に眉が下がって………。



「おかえり」


俺の胸にコツンと頭を預けて、彼女は静かに涙を流した。



寂しかった ──。

会いたかった ──。

そう思ってくれてたんだなって伝わってきた。


離れている間、彼女が『会いたい』とか『寂しい』とか言ったことはなくて。


俺は会いたくて会いたくてたまらないのに ──。



やっぱり俺の方が想いが強いのかなって………そんな風に思ってた。


でもそうじゃないんだよな。


きっとまた我慢してたんだろうな。


美羽さんはそういう人。相手のことを想って………言いたいこと心の中にしまって。



それは、前の恋も少なからず影響しているんだろう。



だけど、これからは ──。



「美羽さん。顔見せて？」


ゆっくりと彼女が顔を上げる。



俺が涙を指で拭うと、今度は心からの笑顔を見せてくれた ──。



それは何より俺が見たかった、美羽さんの顔だった。