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愛しては、ならない
第41章 更に抉られる、傷痕②

花野の音楽教室は、平日はほぼ生徒の予約で一杯だった。

家に生徒がやって来て教えるというスタイルなのだが、発表会等も年に三回は開催しているし、コンクールにも生徒を積極的に参加させている。

祐樹も花野の生徒なのだが、一月後のコンクールに挑戦するらしい。

俺も出たらどうか、と勧めてくれたが、ピアノを弾くのは嫌いではないが、その道を極めるつもりもないのに出ても仕方がないし、正直、菊野との事で頭が一杯でその気になれず断ったのだ。

花野はよく菊野の手伝いに来ていたが、自分の仕事も忙しく、祖父が家の事を手伝ったりしていた。

俺は、菊野に突然冷たくされて混乱し、祐樹との会話で過去が鮮明に蘇り、フラッシュバックのような発作を起こし倒れたらしい。

目覚めると花野の家にいたのだ。

花野は勿論、俺と菊野の間にあった事は知らない。

祐樹から何かを聞いているかも知れないが、俺には何も言わないし聞いてこない。

ただ、「たまには私達の家で過ごしてみましょうよ、お手伝いしてもらいたい事も沢山あるし」

と言っただけだ。

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