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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……


「……お、女の子って……やだあ、こんなおばさんを捕まえて」



なんだか、お世辞の上手いイケメンセールスマンに何かを売り付けられそうな雰囲気を感じてしまう。

おだてるだけおだてて気持ちよくさせて、何か搾り取られそうな……

彼は指で私のおでこを軽く弾いた。



「もうっ!そんな風に言ったらダメ!
てか、菊野さんは俺に取っては可愛い女の子なの!」

「かっ」



またボッと頬が熱くなるが、自分が馬鹿みたいに思える。

こんなに年下の子に、いいように翻弄されてしまうなんて。

彼はそんな私を見てクスリと笑い、ふと空を仰いで言った。



「自分の親とも、来たことがないんだよな……」

「……え」

「父親は仕事ばっかりだし、母親は小さな頃に出ていっちゃったから」

「――」




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