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愛しては、ならない
第42章 最初で最後の……


彼は面白そうに眉を上げた。


「ふうん、じゃあ、僕ってどんな所に行きそうな男なの?」

「う――ん……すっごく上品な白い壁に白い屋根の海辺のカフェテラスでロイヤルミルクテイー飲んだりとか……
あとは……美術館とか……アトリエとかで横に年上の愛人さんとか連れてそう……
それとか……超高級ブテイックでお金持ちのマダムに全身着せ替えコーデイネートしてもらってたりとか……」



大真面目に答えたつもりなのだが、横で彼は爆笑している。



「あははっ……菊野さん、面白いなあ……
何なんだよその妄想……僕って何者なのさ!」

「……だって……なんかそんなイメージなんだもの」

「まあ、確かに女の子とこういう場所って来たことないなあ」

「そうなの……?」

「うん……菊野さんが初めてだよ」



色っぽい流し目――彼は無意識なのかも知れないが――

そんな目を向けられて、またどぎまぎする。




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