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愛しては、ならない
第43章 こわれる



「菊野さんを先に送っていくから」


と言われて彼の後に乗り込むが、座席に腰を降ろした時、隣で彼は首を振り大きな溜め息を吐いた。




「菊野さん。乗り降りには気を付けてって、言ったよね?」

「……な、なあに?
注意されたから、スカートに気を付けて乗ったつもりなんだけど」

「胸」

「へっ?」

「胸が大きく開いたブラウスとか着てる時には要注意だよ!
丸見えだって」

「う……うそっ」


慌てて胸元を隠すが、彼に指で額を弾かれる。


「もう遅いの。
相手が僕じゃなかったら、襲われてたよ?」

「……っ……さ、さっき襲ったじゃない……」



私の言葉に彼は舌を出して明後日の方向を見た。


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