この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
愛しては、ならない
第43章 こわれる


タクシーに揺られながら、彼は景色を見て思い出したように言う。



「剛、具合どうなんですか」

「……っ」



剛の話を振られ、顔がひきつってしまう。

彼にはそんな私の気持ちがお見通しのようで、少し身を乗り出してきた。



「何か、あったんですね」

「……」

「僕が言うのも変ですけど……菊野さんには幸せになって欲しいです」

「森本君?」

「まあ、その幸せって言うのが、菊野さんにとってどんな事なのか……
正直僕にはなんとも言えませんけど」

「私にとっての幸せ……」



彼の言葉に、私の胸の真ん中に突然大きな疑問が沸き上がる。

私は、剛に幸せになって欲しいと思っていた。

小さな頃から、ふたごのジョンとマルコを私が幸せに、笑顔にしたい、と思って、いつかふたごの男の子を育てて――

と、夢見ていた。

でも、私は自分の幸せが何なのか、と改めて考えると、何も答えが出ない。

優しい悟志という夫、可愛い息子。

それを手にしている自分は幸せなのだと思っていた。

でも、だったら何故自分は剛に恋をしたのだろう?



――それだけで貴女は足りなかったの?



花野の言葉が頭に過る。

そうだ。

私は足りなかったのだ。




/1680ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ