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第44章 こわれる　②

花野が、ふとこちらに顔を向け、俺は思わず身を隠した。

自分があの場に相応しく無いような気がした。

実際、俺はこの人達と血の繋がりが無いのだから。

それに、悟志に嫉妬してしまっているこんな気持ちで、彼にどんな言葉を掛ければいいのか分からない。

倒れる直前、俺と菊野の仲を疑っていた彼だが、その辺はどうなのだろうか。

彼は俺に憎しみを抱いていても不思議ではない。

俺はどう振る舞うべきなのか、と考えを巡らせていると、花野の声が耳に届いた。



「……剛さん、来ないけれど……どうしたのかしら」

「そうだ!剛、なにしてんだよ――」

「悟志パパとは久し振りだからはにかんでるのかしら?」

「いやいや、せんせ、剛はそんなタマじゃ無いって――」



バクン、と胸が跳ねる。

だが、悟志の言った言葉に、全身が凍り付いた。











「……つよし……?
誰の事だい……?」