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愛しては、ならない
第47章 埋まらない溝


森本はサンドイッチを三口(みくち)程で平らげ、眉を少しあげた。



「ああ……僕もメールしてるけど、返事ないよ?
まだ具合が良くないんじゃないの?」

「……」

「カルシウム足りないんじゃないの?
ゼリーじゃなくてヨーグルト買ってきた方が良かったかなあ」



爪を噛むのを止めない彼女に嗜める様に言うが、逆にきつい目で睨まれる。



「そうよ……足りないの」

「え……?」

「剛君が足りないっ……
彰……抱いてよ……っ」



彼女は小さく叫ぶと、森本の胸に抱き着いて頬ずりする。

彼は彼女の身体を受け入れ、艶のあるまっすぐな髪を指で撫で、昼間抱き締めた菊野の髪を思い出していた。




「晴香……どうしたの?
今夜は来ないって言ってたのに……」

「……来たらいけなかった?」

「いや……違うけどさ」

「――そんなに、あの女とのセックスが良かったわけ?
私と居るのに心ここにあらずになる位――!?」



彼女は爆発した様に叫び、彼の背中に爪を立てた。


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