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愛しては、ならない
第49章 それぞれの決別


真歩は、いつものほほんとして見える菊野が、此処までの強い思いを持っているのにある種の感動をおぼえていた。

あれだけ大勢にからかわれ、否定されても自分の思いを曲げない――

それが正しいかどうかはともかく、中々出来ない事だ、と思った。

しかし、菊野もじきに現実を知る時が来る。

自分に都合の良い王子さまなど居ない、という事を実感する時が。

その時まで後何年掛かるかは分からないが、束の間の夢を見るのもいいんじゃないか。

自分はそれをとくと見届けてあげよう。

夢が破れたなら、慰めてやればいいし、もしまかり間違って叶ったなら、一緒に喜んでやればいいのだ。



「見つかるといいね……王子さま。で、双子?
なんか、育児が大変そうだけど……まあ、双子が生まれたら良いわね」

「う……ううう……まぼ――っ」



菊野は真歩の言葉に感動したのか、抱き着いてきた。



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