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愛しては、ならない
第53章 最後に、もう一度だけ②


俺は彼女の背中を抱こうとするが、彼女がするりとかわして、脱がされた服を拾い集める。

だが俺は後ろから羽交い締めにし、首筋にキスを何度も落として彼女の身体の力を奪う。



「お……ねが……い……もう」

「菊野……まだ時間はある」



俺は時計を見て彼女の耳元で囁く。

まだ昼前だ。

俺はまだ菊野を貪るつもりでいた。

キスをした時の彼女の表情、愛撫ひとつひとつに震え、瞳を潤ませる彼女は、とても美しく悩ましく、別れを決めた今となってもなお、俺を魅了して猛らせる。

そして、彼女も俺に抱かれるのを望んでいる筈だ。

口では拒んでも、身体の反応が、それは嘘だと教えてくれる。






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