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愛しては、ならない
第54章 四年後


「ああ……ああ……っ……凄いっ……壊れちゃう――壊れちゃ……ああ――っ」



よく通る女の高い声は、祐樹の欲情を掻き立てるより先に、頭痛を起こさせる程に耳障りなものだった。

祐樹はまだ経験がないから何とも言えないが、ここまで大声をだされては色気もへったくれも無いような気がする。

いや、男によっては、こう言う感じが「良い」と思う奴も居るのかも知れないが――



思わず耳を塞ぐと、女の声はピタリと止んだ。



「――?」



祐樹が家の中を振り返った時、女のヒステリックな怒鳴り声と共にドスンドスン、と言う物音がし、何事かと目を丸くしていると、玄関の真正面にある
リビングのドアがバアン、と開いてミニスカートの茶髪のキツい顔立ちの女が出てきた。


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