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愛しては、ならない
第54章 四年後



剛も彼女は作らない、とか言っておきながら、この家で女の子といちゃついている場面を祐樹は何度か見ている。

祐樹もここに来る時に毎回連絡を入れるわけではないので、今回の様なケースも初めてではない。

だが、聞こえてくるその声は、お喋りをしている物ではない事が祐樹にも分かる。

明らかに、「本番」真っ最中の声だ。




(でも、やけに近くから聞こえるな……寝室は二階なのに)



祐樹は、ハガキをポストに入れて踵を返そうとするが、一際大きな叫びが聞こえて思わず足を止めてしまった。



「ああああ――!凄い、凄いっ、剛くん……っ!
ダメ!ダメ!私、その体勢は弱いの――っ……ああっ……いっちゃう……いっちゃう――っ」



切迫した響きだが、その大音量に祐樹はビビっていた。




(真っ昼間から、こんなに遠慮なしにアンアン叫んで、近所に丸聞こえじゃんか――)
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