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愛しては、ならない
第55章 ウエデイングブーケ



しかし、剛が家を出てから四年経つと、激情に翻弄される頻度が少なくなって来た。

お盆もクリスマスも正月も家に寄り付かない剛の事が心配ではあったけれど、花野は時々彼に会っているらしく、彼と会った後は私に様子を聞かせてくれた。

祐樹も事あるごとに剛の所に遊びに行っては、私に彼の近況を教えてくれる。

本当なら私が彼に会いたい。



――剛さんは、もうすぐ二十歳になるのよね……背は元々高かったけれど、四年間でもっとすらりとしたかしら……

私や母さんが野菜とかお肉を買って届けたりしているから、食べ物には不自由してない筈だけど、ちゃんと毎日お料理しているのかしら?

大学とバイトと家の事を同時にするなんて、とっても大変なのに……もし風邪をひいたりしたら、どうするんだろう――



キッチンでキャベツを千切りしている時などに、いつの間にかそんな事を延々と考えてしまい、指を切ってしまったりした。


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