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愛しては、ならない
第57章 二十歳の同窓会②



いきなり菊野の話を振られ、つい睨んでしまう。



――こいつ、白々しい言い方をしやがって。

お前は今でも菊野に興味があるのか?清崎と結婚する癖に……



森本は俺が無言で乾杯のビールを飲み干すのを見て真顔になる。

テーブルの上のワイングラスを俺に握らせ、白ワインを注ぎ目で飲むように促した。

その目を見据えたまま、一気にグラスを空けて息を吐き、彼に切り出した。



「お前はどうなんだ」

「……?」



彼は大きな目を少し細め、さらにワインを注ぐ。

グラスを握り締め、俺は低く言った。



「お前こそ、菊野と会っていたんじゃないか?」



彼は何も言わずにグラスに口を付け、俺の目を見返す。



「……俺がこんな事を言うのもおかしいが、もし清崎を泣かすような事をしたら」

「剛」



彼のしなやかな指が華奢なグラスをテーブルに置いたかと思うと、胸ぐらを掴んできた。





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