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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋



目の奥が痛み、大きな涙の粒が彼の掌に落ちる。




「ち……違」

「何が違うんですか……俺の事を忘れられないから……だからずっと持っていたんだろう?」

「違う!」

「違うなら……何故そんなにむきになるんです」

「ち……違う……っ」



涙が次から次へと落ちて、私が首を振る度にベッドのシーツを濡らしていった。

剛は腕の力を弱めると、私の頬に指でそっと触れて苦笑する。



「強情ですね……こんなに泣いているのに」

「だから……違うもん……っ」

「俺が好きなんだろう?」

「……き……嫌いよ」



言葉では拒否しながら、彼の涼やかな瞳が真っ直ぐに私を映すのを見て、胸の中が熱く甘く蕩けていく。




――好き……好きよ……

貴方がずっと好きなの……

どうしようもなく好きなの――!




心の中ではこう叫んでいた。


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