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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋


でも――そんな事、言えない……

言ってしまったら私はもう二度と悟志さんの妻に戻れない……

祐樹の母に戻れない……

ただの恋に狂う女になってしまう――



「菊野……好きだ」

「――!」

「好きだ……貴女が好きだ」

「わ……私は」

「好きだ――」

「――」

「もしも……俺のせいで……悟志さんに何かあったとしたら」




彼の低い声が更に深みのある響きを持ち、私の耳に届く。

私は髪を撫でられながら、彼の次の言葉を聞き逃すまいと息を詰めた。




「その時は……俺がその罪を背負います」

「剛さ――」

「罪も、貴女も……この胸に抱いて生きていきます」

「――!」


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