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愛しては、ならない
第61章 愛しては、ならない



何度も瞬きを繰り返すその瞳は俺を真っ直ぐに映している。

俺も、彼女しか見ていない。そう、俺は、貴女しか見たくない――貴女だけをいつまでもこうして見詰めていたい――

そう思ってもいいのだろうか?やはり、それは赦されない事なのだろうか?

俺は、書類の上での家族だろうとなんだろうと、彼女を愛してしまった。

人を愛するという気持ちは、行為は、素晴らしい事だ、と歌っているラブソングが世の中には溢れているのに、その愛するという事が時と場合によっては罪になるなんて、皮肉としか思えない。



「あ……あのね」

「はい……」

「……っ」

「何でも聞いてください」

「も……もう少し離れ……」



彼女の頬の赤みがますます濃くなっていき、俺は思わずクスリと笑う。
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