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愛しては、ならない
第11章 蒼い覚醒



菊野は、未だに
"ママ"と呼ばせたがっているが、剛はどうしても彼女を母親とは思えなかった。


母、と呼ぶには――
思うには、彼女は余りにも自分から見れば小さく、頼り無く、そして可憐だった。



母親とは思えなくても、彼女は自分に取っての恩人であり、大切な存在なのだと認識していたが、時に沸き上がる不可解な衝動をもて余す時には、自分が分からなくなった。


同級生の女子にはあまり興味をもてなかったが、清崎晴香は何処と無く菊野に雰囲気が似通っていた。


放課後二人で図書室で勉強をしていた時に、彼女に口付けをせがまれ、剛はその唇に触れてみた。

思っていたよりも柔らかく、甘い香りがして心地が良かった。



女の子と付き合ってみるのも悪くはないと思い始めた矢先に、菊野の様子がおかしくなり始め、剛の心を少なからず乱した。
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