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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
祐樹も寝てしまい今や二人きりの空間の危うさに気付いたのかどうか、彼女は俺からゆっくりと後ずさった。
「ほ、本当にありがとう……
プレゼントも嬉しかった……」
俺は、彼女に逃げられない様に、
「本当に、気にしないで下さい。
あ、祐樹のやつ……
開けっ放しはやめろっていつも言うのに」
と、然り気無くリビングのドアを閉め、その前に立った。
菊野は頬を染めたまま、落ち着きなく時計に目をやったり、俺の後ろのドアを見たりしていた。
俺は、一歩踏み出して、彼女の腕を掴む。
途端に怯えと、更に紅い色がその頬を染めあげたが、やはり俺を見ようとしない。
「――つ……剛さん」
震える唇を、今すぐ奪いたい衝動をギリギリまで堪え、俺は歯を食い縛った。
彼女は、消え入る様な声で呟く。
「は……離して」