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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
黒目がちな瞳が大きく見開かれ、涙が堕ちる寸前まで盛り上がり、首を振る。
「き……嫌いになんて……な……なる訳な……っ」
彼女の細い足首も震えて、最早俺が支えていなければ立っている事も出来ない様子だ。
頬に触れると、やはり滴が俺の指を濡らす。
今まで、どうしてこの人に触れずに居られたのだろう。
この人の姿を目にして、どうして平静に過ごせたのだろうか。
声を聴けば甘く胸が痛み、後ろ姿を見ればその小さな肩を抱き寄せたくなり、唇が目に入れば烈しく欲情する。
「菊野さん……っ」
堪らず彼女を強く抱き締め、ソファに沈めてしまう。
「だ……ダメ!
剛さん、ダメッ」
菊野は首を振り、被さる俺の胸を叩くが、強くすると痛がると思うのだろうか。
小さな子供が肩叩きをする程の力しか込められていない事に、俺は思わずクスリと笑う。