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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
「泣かないで下さい……」
胸が潰れそうな痛みに耐え、やっとの思いでそう問い掛けると、彼女は俺を紅い目で見上げ、また頬を染める。
俺は、正直訳が分からない。
頬を染めて見詰める様は、俺に告白してきたクラスメイトの清崎と同じ、ときめきと不安に揺れる乙女にしか見えないのに、耐え難い痛みを遣り過ごす様に唇を噛み締めて泣き続ける菊野は、一体何を思っているのだろうか。
ただ、困っているだけなのかどうか確かめたくて、また俯いてしまった彼女の顎を掴み上を向かせた。
「……っ……ダメ」
彼女は、また震えている。
俺が、これ以上の何かをすると怖がっているのだろうか。
「……俺を、もう嫌いになりましたか」
他に、もっと言いたい事があるのに、口を衝いて出たのはそんな言葉だった。