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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
男女が身体をぶつけ合う映像や画像を見ると、両親の行為を見せられた遠い忌まわしい記憶が甦る事がある為、興奮というよりは嫌悪を抱くという感覚に近かったのだ。
自分はそういう感覚がひょっとしたら欠けているのではないか、と思ってもいた。
だが、いつからかは定かでは無いが、菊野の姿を目にした時や、ふと手が何かの拍子に触れ合った時、今までにない不思議な現象が起こる事があった。
胸が訳も無く高鳴り、落ち着かなくなり、身体が熱くなる。
それは、決して不快な感覚ではないのだが、不意に訪れる昂りに、正直困る事もあった。
ただ、何故菊野に対してそんな反応をするのか、自分では理解して居なかった。
単に、自分に取っての一番身近な女性だから、そうなる事もあるのかも知れない位に思っていた。
――だがそれは大きな間違いだった。
菊野は、近くに居る様でいて、とてつもなく手の届かない女(ひと)なのだ。
悟志に抱かれ、声を上げる彼女を見た時、思い知った。