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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
三月の終わりの暖かな庭で、私はシーツのシワを伸ばして竿に掛け鼻唄を唄っていた。
人気女優が主演のドラマの主題歌を、うろ覚えで口ずさむ。
いわゆる歳の差恋愛がテーマで、ヒロインが大学生で、五十歳の男やもめの教授に恋し、様々な障害を乗り越えて愛を育み結ばれるというストーリーだ。
丁度昨日最終回で、私はまだラストシーンの余韻から醒めやらない。
はためくシーツの眩しさに見とれながら、剛が着ていた白のシャツと、出掛けにすれ違った時のシャボンの薫りを思い、鼻の奥がツンと痛む。
「……世界……の……を敵に……も……
あなた……を……てる……」
大サビの部分になると、感情が昂りしゃくり上げそうになり、瞼を指で押さえると途端に涙の粒が堕ちた。