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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
春休みに入り、剛は毎日のように出掛けていたが、寂しいというより、何処か安堵する自分が居た。
彼は、この気持ちが錯覚でも構わない、と言って、私の身も心も蕩けさせ、大きな困惑を植え付けた。
夜、悟志が居る時には剛は私に近付いては来ないが、ふと、部屋に二人だけになる時には、妖しい光をその瞳に沈ませ、抱き締めようとするのだ。
私はその度に必死に逃げるが、時々つまづいて失敗し、彼に捕まってしまう。
彼は切なさと、欲情の混じる眼差しを向けてきて、口付けようとする。
その度に、つい身を委ねてしまいたくなるが、私は心を鬼にして拒否するのだ。
この間の様に、舌を咬むと言ってみたりもした。
すると、剛は顔を歪め、
"それを言われたら、何も出来ません"
と、私を離す。