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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②




"今日は、何処かへ出掛けるの?"

と聞いた時、剛はこれ以上ない程の優美な笑みを私に向けて、涼やかな声できっぱりと答えた。



"晴香と、デートしてきます"


私は、衝撃に湯呑みを落としそうになった。

その言葉の意味を理解するのに数秒かかり、視線を泳がせていたら祐樹が言う。


"うっわ――!
ハルカって、この間の告ってきたおねーちゃんだろ?
いつの間に呼び捨て~?
剛も女に興味ないみたいな顔して、やる事はやるね――!
ねえ、ママ?"



私は、我にかえり、祐樹には適当に何か言葉を返したが、その後は剛を直視出来なかった。


祐樹は剛をその後も暫くからかっていたようだが、何の会話をしているのか、私にはさっぱり頭に入って来なかった。


ただ、胸の中で、言い様の無い黒い感情が渦巻き、倒れてしまわないように自分自身を保つのに精一杯だったのだ。
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