この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
"今日は、何処かへ出掛けるの?"
と聞いた時、剛はこれ以上ない程の優美な笑みを私に向けて、涼やかな声できっぱりと答えた。
"晴香と、デートしてきます"
私は、衝撃に湯呑みを落としそうになった。
その言葉の意味を理解するのに数秒かかり、視線を泳がせていたら祐樹が言う。
"うっわ――!
ハルカって、この間の告ってきたおねーちゃんだろ?
いつの間に呼び捨て~?
剛も女に興味ないみたいな顔して、やる事はやるね――!
ねえ、ママ?"
私は、我にかえり、祐樹には適当に何か言葉を返したが、その後は剛を直視出来なかった。
祐樹は剛をその後も暫くからかっていたようだが、何の会話をしているのか、私にはさっぱり頭に入って来なかった。
ただ、胸の中で、言い様の無い黒い感情が渦巻き、倒れてしまわないように自分自身を保つのに精一杯だったのだ。