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愛しては、ならない
第19章 恋の業火



剛は、器の中身を全部平らげると、私が運んできた水を一口飲み、溜め息を吐いた。


「……ご……ちそうさまでした……」


高い熱が出た時には食べたり飲んだりするだけでも消耗するものだ。


私もたまにそうなるので、辛そうな彼を見て実感する。


そう言えば、この家に来てから彼が具合を悪くしたのは初めてだ。


「……お医者様にかかったほうがいいかしら……」


私は、剛に毛布をかけ直し呟くが、今日は日曜だった事を思い出した。


「救急医……
当番医……」


私は、祐樹が小さな頃、しょっちゅう病気をしては病院へ駆け込んだ日々を思い起こし、そういえば剛が幼い頃はちゃんと両親に看病して貰っていたのだろうか、と疑問が湧く。


電話帳の病院欄を探していたら、剛は私の思いを見透かした様に言った。



「……俺は、物心ついてから両親に病院へ連れて行かれた記憶がありません」


「……」


私は、瞬間胸が詰まり、彼を見た。
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