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愛しては、ならない
第22章 滅ぼせない恋情



真歩くらいにしか話していない筈だったのに、ラブレター事件は、恋に憧れる年頃の女の子達だらけの学校中に広まってしまった。



彼は、週に二、三回ペースで放課後に校門の所で私に会いに来る様になった。



彼は背が高くてがっちりとした体育会系の男子だったが、声がやたらと大きくて、言葉遣いが乱暴だった。


今思えば、彼はごく普通の明るく元気な高校生だったのだ。


だがあの頃、彼が怖くて堪らなくて、まともな会話さえ出来なかった。


それに、彼は大抵誰か友達を連れていたし、私の側にも真歩やクラスメイトが必ず居た。



"菊ちゃん、いいじゃない、背が高くて格好いいし、付き合っちゃえば――?"


クラスメイト達は、彼が来る度に面白がる様に囃し立てたが、周りが騒げば騒ぐ程に、私は頑なになった。


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