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愛しては、ならない
第25章 離したくない


「じゃあ、そうなんでしょうね」

思わず笑いが込み上げてしまい、口元をナフキンで拭う振りをして誤魔化そうとしたが菊野の鋭い声が飛んできた。


「何故そんな風に笑うのよ?
剛さん?私は貴方のれっきとした保護者で母親で、十四歳上の大人なのよ?
子供の仕草を笑うみたいにしないでほしいわね~」


菊野は舌足らずに俺を責めながら、スパークリングワインのグラスに手を伸ばした。


「そろそろ止めておいたほうがいいんじゃないですか」


「ふ~ん~。
今日は飲むの~。剛さんも飲めば~?」


菊野は鮮やかな朱に染まった頬で無邪気に笑い、ワインを煽った。

彼女がここまで酩酊するのを初めて見たが、嫌悪感は感じなかった

女性が酔っぱらう姿は見ていてあまり良いものではない。真歩がたまに西本家に泊まる事があり、彼女が酔い潰れるのを何回か目撃したが、正直

「介抱する恋人は気持ちが褪めるのではないだろうか?」

と思ったものだ。

今時は女性の酒豪も珍しくないし、俺の考えは古いのかも知れないが……



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