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愛しては、ならない
第25章 離したくない
髪の甘い香りが鼻腔から入り込み、淫らな刺激となって身体中を稲妻のごとく駆け抜けて、俺は我を忘れ彼女の手を掴み引き寄せ唇を奪った。


「……ん、ん」


柔らかい唇が、抵抗するように僅かに動き、たおやかな腕が俺の胸を叩くが、それさえも火に油を注ぐ様に俺を煽る事になる。


思う様唇を吸いながら、結わえられた彼女の髪を片手でほどいていく。


真珠の髪留めを外すと、美しい波状になった黒髪が彼女の背中まで垂れて、その妖艶さに俺は目を見張った。


一瞬力を緩めた隙に、彼女は俺の胸を突き飛ばし、逃げようとするが、酔いの回った身体は思うように動かないのだろう。


頼りない足下は縺れ、つまづいて転ぶ。



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