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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない


思えば、真歩は男性からモテるのに、頑なに結婚を拒んでいた。

時には家庭のある人と付き合ったりもしていたし、同時に複数の男性と交際する事もあった。

ある時私が、「それだけ沢山の人とお付き合いしてるなら、運命の王子さまに会っていそうじゃない?」

と言うと、真歩は首を振って、


「運命の人は、居るわよ……
でも、私にはそうでも、相手の人には私は運命の女じゃないから……」


と答えたのだが、その時の真歩の顔には見たことのない哀愁が垣間見えた。

それ以来、私は真歩にその手の質問をするのを止めた。

いつも明るくて元気な真歩の、悲しい顔を見たくなかった。
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