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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない
「おい……歌はともかく歌詞がメチャクチャじゃないか。
作詞した人が怒るぞ」
「――っ」
いつの間にか真後ろに剛が居て、祐樹の頭を軽く小突いた。
「え~そんなの僕がまだ小学生ってことで大目にみてくれるよきっと~
言葉はその国々で違うけど、メロディは万国共通なんだから、一番重要なのはメロディ!!
歌詞は二の次だって!!」
「……ぺらぺらと良くまた出任せが口から出るなあお前は」
「出任せ違うも~ん」
軽口を交わしながら小突きあいをする二人だったが、私は手早く手を拭き、剛を見ないようにしながら早口で言う。
「うん、ママ、やっぱり少し疲れたかも。
もう部屋で休むね……
祐ちゃん、剛さんも早目に寝なさいね?」
「うん、ママ、おやすみ~」
祐樹は、背伸びをして私の頬にチュッとキスをする。
「お休みなさい、祐ちゃん」
祐樹の頭を撫でた時、剛がこちらをじっと見詰めていたが、気付かない振りをして私はリビングを出て寝室へ入った。