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第30章 彼しか見えない

「だって……!ん……っ」


剛は、押し付けられて喘ぐ私のショーツに手を掛けて小さく呟いた。



「我慢してください……

俺だって……声を上げて叫ぶのをかなり我慢……しています」


彼を見上げると、せつなげに目を細め、言った。


「大声で……貴女を好きだ……と言いたいのに」


「――!!」




頬がますます燃えて、本当に熱を出しているかのようだった。

熱を冷まそうにも、彼が目の前にいて、その目で見詰めて蕩ける言葉を次から次へと浴びせてくるのに、冷めるわけがない。