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愛しては、ならない
第32章 企み②


「――!や……な、にを……っ」


何故こんな事になったのか、どうしても分からない。

彼は剛の友達で、中学生の頃から家に遊びに来たり、学校の参観や行事で会ったりすると気さくに挨拶をしてくれる子供だった。

子供――でも、彼と同じ年齢の剛と、私は身体を合わせたのだ――

つまり、今私を押さえ付けてぎらつく瞳で捉えている彼は、そういう意味では子供ではない。

私を今から抱こうとする、欲に支配された男だ。

ゾッとした。

さっき街中で庇ってくれた紳士のような眼差しとはまるで別人だった。

わたしの身体を舐める様に眺め、多分その頭の中は淫らな映像で一杯に違いない。

剛が私を想って夜な夜な自分を慰めていた事を知った時には嫌悪など感じなかったが、森本に性的な視線を浴びせられただけでおぞましくて仕方がない。

私は脚をばたつかせ、腕を振り上げて彼を叩いたり、身を捩ったり、思い付く限りの抵抗をした。






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