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愛しては、ならない
第36章 愛憎


「……西本君のおうちに遊びに行きたい――!」


「ちょっと……ユカタン!」


女子が四人俺達の前に居たが、その中にただ一人、今まで何も喋らないでいた子が初めて口を開いた。

肩までのフワフワの髪は天然パーマだろうか。

喋らない時には分からなかったが、ハスキーで舌足らずな声がチャーミングだった。

ユカタン、と呼ばれた派手な外見の女子は目を細めてその子に意味ありげに目配せする。

森本は、俺から手を離して両手で騒ぎを収めるような仕草をした。



「あ――、こいつんち、今ちょっと大変なんだよ……

だからさあ、皆俺んちに来れば?」


その一言に、女子たちは目を輝かせて手を取り合ってはしゃぐ。

「ユカタン」が、背中まである栗色の髪を指でいじりながら少し遠慮がちに言った。



「行きたい……けど、森本くん家は大丈夫なの……?

その、親とか……さあ」


「なんだよ――友佳。お前が言い出しっぺの癖に」


森本は、ユカタン――友佳というらしい――

彼女の額を軽く指でつついた。




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