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愛しては、ならない
第39章 愛憎④


『いいの?……もっと痛くなるよ』


清崎は、僅かに唇を震わせながら小さく頷いた。

その愛らしい仕草に彼の理性はあっさりと崩れ、彼女の腰を掴むと思い切り深く一気に腰を進め、先程とは比較にならない程の烈しい律動を始める。

彼女は彼の背中に、爪を食い込ませる程に強くしがみついて啼き、何度も彼の名前を呼んだ。

彼も、名前を呼ばれる度に彼女への愛しい気持ちが胸の奥に積もっていくような気がした。

遂に果てて、彼は息を切らしながら腕の中でぐったりする彼女の頬に口付けると、彼女は花のように笑った。

その笑顔を見て、彼女の温もりを感じていると、まるでこれが自然な事に思えた。



――剛を好きでいるより俺と一緒に居る方が彼女は幸せなのではないだろうか?



その瞬間(とき)は、そう思ってしまった。

彼女の柔らかい身体と、腕の中で漏らした無防備な優しい溜め息に、自分に総てを許したのだと、おめでたい勘違いをしてしまった。

彼は忘れてしまっていた。

女が演じる事の出来る生き物だと言うことを。


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