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第25章 その25

「はぁい、タカタ様〜
お釣り340円ですー」


お年寄り患者の手に釣り銭を優しく乗せた。


「また来るわねぇ〜」
タカタ様は薬局の袋を下げて杖をつきゆっくり帰っていく。




仁多悠里【ニタユウリ】は「お気をつけてー」と言い掛け時計をチラリと見た。


午前11時20分。
あと10分で午前の部は終わり。


（そろそろ来ないかな〜）つい、
病院の自動ドアを見てしまう。



事務服に身を包んだ悠里は、
26歳。
中肉中背で茶髪のストレートロング。
メイクはナチュラルだけどしっかりする派。



個人病院の医療事務に就職して3年目。


後輩が入らないため、
ほとんど1人でこなしていた。