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刑事とJK
第35章 ひと言だけちょうだい


―――――――――――



「ああーいってぇ…」




「あなた、一体
週に何回来れば気が済むわけ?」



津森は斉藤の擦りむけた腕に消毒液をつけた



「あでで!!
染みるっつの!!」



「うるさい、液ごとぶっかけるわよ?」




その時の津森はまだ23歳、
斉藤は21歳だった




津森は医療班に入って1年ほどだったが、
斉藤なんて刑事になって
2ヶ月も経ってなかった


まだそれだけ半人前だった時期…





斉藤がちょくちょく
医療室へ治療を受けに来るのには、わけがあった…





「また村上さんに
こてんぱんにされたのね」



「それ以外に何があんだよ…
あんな妖怪を相手にして、
無傷でいられるわけがねぇ」





村上さんが強い人だってことは、
斉藤の体についたたくさんの傷跡がよく物語っていた






「今日は何してたの?」



「テコンドー…」



「へーえ」



「あんなもん、いきなり出来るわけねぇだろ!!」





斉藤は自分の足を殴った





「先週は、ムエタイだったわね」



「まあな…
あのババア、今までどんな生活送って来やがったんだよ」






津森は斉藤の腕にテープを貼った





「ま、あんたも頑張んなさいよ」




ポンと背中を叩く




「わかってら、
いつもわりぃな」




斉藤は立ち上がって、
扉の前でそう言った






「これがあたしの仕事ですもん」





斉藤は軽く手をひらひらさせ、医療室を出た










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