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刑事とJK
第36章 村上





「村上は、強かったよ…
そりゃもう、一度も組み手では
勝てなかったな」




「先輩が勝てないとか、
どんだけ強靭な人だったんですか…!?」



「弥生はそういうことが好きだったから…
小さい時から独学で勉強してたよ」





飛鳥はどこか誇らしげに言った





「だろうな…
どんな型も綺麗で、キマッてた。
並大抵の努力じゃ無理だよ」




「頑張ってた姿は、毎日のように見てたもの…」




「…」




話が…続かない



斉藤としては歯痒かった







別人なのに村上を相手にしているようで、

言いたいことも伝えられなくて…





「…シゲ」


「はい?」



「わりぃ、ちょっと部屋から
出ていってくれねぇか…?」



シゲはよく理解できなかったが
「はい」と言って部屋から出ていった







部屋には、斉藤と村上だけ




何年ぶりだろうか、この感じは…






自分がシゲをこき使っているように、
村上にはよくこき使われたものだった





本当に、懐かしい…






「刑事さん、名前は?」



「…斉藤だ」



「斉藤…さん…」




この声で、何度も呼ばれた


毎日毎日、斉藤斉藤、と…




斉藤は、今自分が誰としゃべっているのか
わからなくなってきた






村上なのか…?


その妹なのか…?






もう…どっちでもいい






お前が死んでから、

どうしても伝えたかったことがあんだ…






「…村上…」



「…何?」











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