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第20章 欲求不満②

「なんだかね」

「なによ」

「んー……いや、堕ちたなって」

「なにがよ」

「言葉の地位が」

「なに？　難しい話はやめてよ」

「単純なことですよ。僕は日本語が好きでね」

「ふぅん」

「言葉って女性と通じる部分があると思うんだけど、纏う空気と素材とその使い方で表情が凄く違ってくるでしょ」

「あんたにしてはわかりやすいわ」

「ありがとうございます」

「皮肉よ。それで？」

「汚い日本語なんて存在しないんですよ」

「？　綺麗な日本語しかないってこと？」

「いえ……美しくない言葉なんて屑なんです。なんの価値もないただの音。文字じゃないただの書きなぐり。品性、素材？　全てを殺した屑なんです」

「極論ね」

「間違ってますか」

「ん……んー、どうだろ」