この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater9.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
呟きたい
第29章 バレンタインデーは泣かない
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
「あれ?」
「どうしたの、麗奈」
「マスターさんとめくちゃんがいなくなった」
「そうですか」
「ハル……さん?」
「行きましたか……そうですか」
「ハッルー! 一緒にブラックジャックやろうよー。姉さん弱すぎ」
「なにをー。結構強くなったのよ、これでも」
「まだまだだよー」
「今行く」
「麗奈」
「え? 私たちも?」
「そうよ。行くわよ」
「あら? また来客……いらっしゃ……あ」
「よお。軽井沢の喫茶店放ってトランプか、胡桃」
「うわ。直輝だ……くたばればいいのに」
「うっせ。くそがき」
「なんで来たの、お前」
「おいおい。ハルまでそう言うのかよ」
「ああ……こんな日にも独りなの、お前」
「ちげーよ。呼ばれたんだよ。ここにオレ宛のプレゼントがあるって」
「もしかして、コレ?」
「ああ。さっきボクが食べたやつ」
「なんで食ってんだよ! オレ宛のチョコだったんだろ!?」
「知るかよ」
「蕗……」
「ちょうどいい……お前ら今からブラックジャックするんだろ。買ったらその山貰う」
「直輝……そうまでしてチョコ食べたいの? 死ねばいいのに」
「やめろ。哀れな目で見るな」
「早く座りなさいよ」
「あ? 誰だ、嬢ちゃん」
「あっ。初めましてでしたね。芦見麗奈です」
「マキよ」
「どっちだよ」
「どっちもよ」
「よくわかんねえけど。おい、ハル」
「はい。僕親だからこれで終わりですね。ブラックジャック」
「なんで即刻出るんだよっ!」
「ああー……僕絶対ダンゴできたのにぃ」
「あたしだってダブルバインドかけようとしてたのに」
「皆さん何語話してるんですか……」
「ああ。そうでしたね。教えますよ。手札は二枚で、親の一枚が公表されているのでそれを……」
「あ……もしかして」
「どしたの、直輝」
「胡桃。あの女……ハルの好きな奴か?」
「今更ね」
「ああ……それでか」
「ふふ。直輝でもわかるほどよね」
「なーに二人でニヤニヤしてんの」
「んーん。なんでもないわ、蕗」
「よしっ。勝つわよ、麗奈」
「はいっ」
「あたしらは二人で一人だから配当二倍でいいわよね」
「いやいや。何言ってんだ」
「いいですよ」
「おい」
「親の僕がいいですよって言ったんですよ?」
「くそ……」
![](/image/skin/separater9.gif)
![](/image/skin/separater9.gif)