この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
セルフヌード
第8章 *最終章*セルフヌード



 真新しい一日が明けたばかりの、爽やかな緊張感が疎ましい。


 時を巻き戻したくさえなる。ほんの数時間前に。





 美人の自己演出は、赤ん坊にも通用した。

 なつみは赤の他人も同然の乳児を相手に愛おしそうに笑いかけ、屈託ない賛辞を浴びせた。ことあるごとにぐずる咲希も、母親の恋人の前でようやっと可愛げのある娘になった。

 美優は昨夜、咲希の母親である喜びを初めて覚えた。

 咲希の半分は、良から出来ているというのに。





「ねぇ、なつみ──」

「ありがと」

「あ、……」


 いつの間にか目的地に着いていた。いつだったか前にもなつみを送っていったビル。

 あの後、美優は長年の友人と仲違いしたのだ。


「はい、気を付けて帰って。ベビーカーって押すの怖いね。慣れたらそうでもない?」

「…………」


 乙女が重たい思いをするのは見ていられない。そう言って束の間なつみが美優から取り上げていたベビーカーが、手許に戻った。



 家に帰りたくない。帰ったところで良が待っているだけだ。

 不可視の濁った沈殿物が、美優の腹をにわかに痛めた。
/269ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ