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セルフヌード
第2章 美しさという暴力


「ありがと。へへっ、お化粧ハゲたらどうするの。はるこってば泣かせるの上手いよ」


 本当に久し振りに会いたいよ。


 美優ははるこに別れを告げて、スマートフォンをバッグに仕舞った。



「気合入ってるな」

 扉の取っ手がひとりでに回った。
 寝室を出てすぐのところに良がいた。

 五日ぶりのラフな姿に、美優の胸がわけもなくときめく。

「髪、下ろしてるんだ」

「おかしいよね、……」

「色っぽいよ」

「っ……?!」

 視力でも落ちたのかと思った。さもなくば頭をぶつけたか。


 そうだ。美優は気張って身支度をした。

 普段一つに縛っている黒髪は、自由に肩に遊ばせて、シャギーの毛先に少量ワックスを馴染ませた。
 洋服は、昨年、帰省に備えて揃えたよそゆきだ。ベージュのプルオーバーに黒いジャケット、大輪の紺色の花が総プリントされた青いフレアスカートで、良に誕生日に買ってもらった淡水パールのネックレスを合わせている。ワゴンセールに落ちるような洋服に慣れた美優には、珍しい。
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