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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「それは駄目。あなたには帰らなければならないところがあるし、きっと待っている人がいるはずだから。もう少しして本当に身体が元通りになったら、あなたの本来いるべき場所に帰ってちょうだい」
 薫子が話を変えたのは、その場の熱さを孕んだ雰囲気を変えたかったのと、承平の気持ちを彼を待つ人たちの方へ向けさせたかったからだった。
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