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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「そんな話よりも承平さんの家の話を聞かせて」
「そんな話はないだろう。俺はこれでも真剣に言ってるのに」
 承平は傷ついたような顔で言ってから、肩を竦めた。
「最初に話したとおりだ。俺には家族なんていない」
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