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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第2章 酔芙蓉の簪(かんざし)
「ご両親は?」
「父は俺がまだ三つのときに亡くなった。母親はいるにはいるが、普段は逢うこともない。口うるさい爺さんが一人いて、いちいち俺のやることに口を出してくる。鬱陶しいこと、この上ない。特に最近はじいさんと母が結託して、俺に嫁を取れと出しゃばってくるんだ」
 その言い様がおかしくて、薫子はついクスリと笑みを洩らした。
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