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月下の契り~想夫恋を聞かせて~
第9章 小平太という男
 長い接吻で濡れて扇情的に光る唇からしたたり落ちるひとすじの銀の糸が淫らだ。その色香溢れる姿に、帝が感に堪えたように呟いた。
「薫子、可愛いよ」
 着物の合わせがくつろげられ、帯が緩められた。燭台の明かりだけの室で、薫子の白い豊かな胸が露わになった。
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