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ドアの隙間
第1章 プロローグ
義父は3ヶ月前に妻を亡くしてからも、前と変わらず出勤し、帰宅後は私達夫婦と一緒に夕食をとる。

前と変わってしまった事は、夕食後、妻の葉子が編物をする横で、テレビを見ながらバーボンを飲む姿が見られなくなった事。

今は一人で庭に出て、煙草を燻らせながら空を眺め、けむたそうな顔をして灰皿で揉み消し、私達に「おやすみ」と一言だけ言って、妻のいない寝室へ入っていく。



…お義父さん

あなたはその部屋で、孤独を噛みしめて、一人で耐えているのですか?

あれほど愛した妻が、あの熱い夜が、二度と戻らない現実を一人で乗り越えられるのですか?


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