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私は犬
第15章 初体験*
はぁ……。気を取りなおして、キッチンにワインをしまいに行くと、白ワインを飲んだグラスが放置されていた。いけないっ!と思いながら片付けて。リビングに戻ってグラスの星を探して眺めているうちに、音羽さんがやって来て、私を見るなり、

「よし。ちゃんと飲めたな。偉いぞ。」

と言いながら頭をそっと撫でた。それから唇に重ねるだけの優しいキスを1つして

「甘っ。よくこんなの飲めるな…。」

と言いながら、私の脇と膝裏に手を差し込み、

「掴まって。」
と言いながら持ち上げる。

そうして、私横抱きにすると

「ベッドはどこ?」

と囁くように聞いてくるから。あっち。とリビングの西の扉を指差しながら教えてあげた。

寝室に入ると、そーっとそーっと、丁寧に私をベッドに横たわらせてくれるから、自分が壊れやすくて価値のある宝物みたいに思えてくる。

音羽さんは、隣に滑り込むように入ってきて、ゆっくり覆い被さると、また優しく唇を重ねるだけのキスを、今度は2回落として

「キスも初めて?」

と小さな声で聞いた。その声を耳にしら…。初めてはいつだったかしら?と必死に頭を巡らせるのに、なかなか思い出せなくて。

「多分、初めてじゃないと思う。」

と。そう答える事しか出来ない。
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