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私は犬
第17章 契約
「隣の隣の角部屋。出て右の。」

はい???ここは2世帯分を改装して使っているから、右の隣家は我が家で…。隣の隣という事は………。隣人?

「マジでぇっ!!」
あらいやだ。剛ちゃんの言葉使いが移ったみたい…。

「はいはい。マジで。マジで。これ家のキーね。念のため預けておくから無くすなよ。」

そう言って、黒いカードキーをポンと渡された。知らなかった……。世の中狭すぎる。

「ほら、行くぞ。早くしろ。」

こういうのを、狐につままれた?あれ?つまままれた?つままままれた?だっけ?

ビックリしすぎて、信じられない面持ちのまま、音羽さんに着いていくしか無かった……。あ、口閉じなくちゃ。

・・・・・・・・・・・・・


「あー。ぎりぎり間に合うな。ちょっと付き合え。」

タクシーを降りて、そう言われて連れて来られたのは、どこかの貴金属店で。店内の商品を見たとたん、ある事を閃いた!時計を買おう。スゲーって言われない時計を!

日本で、食べ物以外の品を自分で買うのは初めてだわ。しかも自分のお給料で。何て有意義なのかしら。素敵だわっ!そう思って時計を探す事に決めた。

どの時計ならスゲーくない?いっぱいあって分からない。どの時計にも宝石が付いているような気がする…。これ、お仕事には向かないと思うの。

「失礼致します。サイズをお計り致します。」

何?いきなり何で??左手を店員さんに捕まえられて、小さな銀の輪がじゃらじゃら付いている棒の中から、1つの輪をはめられた…。。ビックリしていると、あっという間に居なくなったけれど。今のは何だったの?

この店では時計を物色するお客様の指に、あれをはめる決まりでもあるの?
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